会社概要
会社名 | 三重重工業株式会社 |
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代表者名 | 代表取締役社長 窪道德 様 |
所在地 | 〒511-0200 三重県員弁郡東員町大字山田字北前塚3710 |
事業内容 | グレーチング・水門扉・橋梁用床版・プラント鉄構物・ステンレス製品・ 導水製品・衝突緩衛装置・ 建築金物の製造及び溶融亜鉛めっき加工 |
創業 | 1962年 |
資本金 | 9,500万円 |
ツワモノ営業マンから製造工場の社長へ。
窪社長「閉鎖的な雰囲気はありましたね。当然反発もありました。僕は一人で乗り込んだわけですから。」
『三重重工業株式会社』は1972年、桑名にあった中村鋳造という鋳物会社の鉄鋼部門を独立する形で設立。今では、水門・鋼製加工品・導水樋・めっき加工などを含む総合建材メーカーとして社会に貢献する企業となっている。設立50周年を迎えた今、社員210名の当社を牽引するのは窪道德社長だ。
窪社長が三重重工業に入社されたのは28歳の頃、大阪支店の営業職としてスタートを切ったという。10年後――、窪社長が大阪の所長を務めていた時のこと。好景気にも後押しされ売上はどんどん拡大……順風満帆に見えたが、ある日突然誰もが想像しなかった倒産に見舞われたという。
買収というかたちで手を差し伸べたAグループの傘下に入った後、壮絶な債権者会議や不採算部門の閉鎖を乗り越え、利益体質への改善に社員一同必死に取り組んだ結果、業績は徐々に回復。 そして2003年――、社長に就任し営業中心の大阪支店から、製造を行う本社へ赴任することとなる。「(社員は)“何ができんねん!”という感じだった。」と当時を回顧される様子からは、壮絶なご苦労や奮闘が窺える。NBCがご縁をいただいたのはちょうどその頃。窪社長が本社に赴任され一年が経ったころだった。
いかなる危機も乗り越え、傾かない会社。
キーワードは〝人〟。
NBCがご縁をいただいて以降、形骸化していた各会議の内容を見直した。毎月部門長会議を行い、経営状況ならびに部門の業績や取り組みについて確認。年に1度は製造・販売・間接部門での製造販売合同会議を実施し、会社方針の徹底やベクトルの補正を行った。また、表彰制度では功績のあった社員や部門を表彰して、社員がやりがいを感じられる風土をつくっている。
朝礼・挨拶訓練については窪社長自らが先頭に立ちコロナ禍に入る前まで15年毎朝実施。さらに、美化委員会による一斉清掃や社内の花植え等により、工場の環境整備が一層進み、広報委員会の社内報はA3/1枚だったものが、今では24ページにも拡大。業務改善委員会は改善提案を投稿する「現場改善ポスト」を設置。現場の意見を吸い上げることを仕組化している。他部門とのコミュニケーションが盛んになり横のつながりを持てるようになったことで、生産性が劇的に向上し、さらに限界利益率の向上にもつながった。
モノづくりではないヒトづくりの会社
窪社長「NBCさんの『人財育成』の考え方が、私の経営の真髄です。人のカイゼンがそのまま業績のカイゼンにつながっている。まさに、人こそ会社経営そのものなんですよ。一人でやって仮にそれが成果を生んだとしても、それは自己満足の域を超えません。皆さんの意識の変化に合わせて会社が一緒に成長していく、それこそが大切なことなんです。
めっき加工と同じなんです。亜鉛を溶かしためっき槽に製品を入れるんです。その時にサッと上げてしまったら、めっきが全然つかない。何が大事かというと、角度をつけながら、めっきの落ちるスピードと製品を上げるスピードを合わせるということ。これがちょうど一緒になるとうまくめっきがつくんです。」
窪社長就任から5年後の2008年、再び会社の危機が訪れる。リーマンショックだ。窪社長にとって最も厳しい時期だったという。仕入れを見直し、大幅なコストカットを断行。一方で営業マンには1%でも2%でも値段をあげるよう徹底した指示を行い、経費の見直しと売り値の向上、この両軸での対策を講じた。製造・販売でトータル8千万円に及ぶ経費コントロールを経て、見事に赤字を回避した。
当社の強さのひとつに、こうした窪社長の迅速な判断と対応、そして社員一人ひとり、一案件一案件に対する細やかな指示と管理がある。そして、見事なまでにそれに応える「人(社員)」がいる。会社の傾きを経験され、それを立て直した窪社長だからこそ、社員一人ひとりに焦点を合わせ地道な活動をコツコツ積み重ねることの大切さを誰よりも知っているのだ。
三重重工業が目指すところ
窪社長 「売上100億円を目指していきたい。そう思っています。50億円までは中身をつくっていくと思っていたから、ここからやね。NBCさんがいつも言っているように『人材を財産のような人財にする』そういうことをしていきたいです。」
窪社長就任から20期間、当社は一度も赤字転落したことがない。就任時25%程だった自己資本比率は現在35%を超え、純資産も6億円増加。コロナ禍でも過去最高益をたたき出し、直近は3期連続で決算賞与を支給。これらの実績が評価され、経済産業省から『地域未来牽引企業(地域経済への影響力が大きく成長性が見込まれる企業)』にも認定された。 いくら環境を整えても、人の成長が追いつかなければ意味がない、仮に会社が一気に成長したとしてもそれは一過性のものに終わる。人の成長のスピードをしっかりとみながら、足腰を固め、そして一緒に成長していく……。めっき加工と人づくり、そして会社の歩みは共通するところがあると窪社長は語る。