ティール型組織で変革!
10年先を見据えた
自立能動型組織への大転換。

業種
ソフトウェア業
社員数
135名(取材当時)
売上
28.9億円(取材当時)

会社概要

会社名 株式会社アイグローブ
代表者名 代表取締役 宮城勤 様
所在地 〒141-0022 東京都品川区東五反田2丁目8-8 FLEZIO五反田6階
事業内容 コンピュータ及びその周辺機器の開発・製造・販売・運用
コンピュータソフト及びその周辺機器の開発・製造・販売・運用
インターネットをインフラとした企画開発・販売・運用
創業 1998年
資本金 1,300万円

右向け右~!の組織への危惧

宮城社長の故郷・会津地方の風景

《宮城社長》「少し手前味噌になりますが、当社は技術的には非常に高いものを持っていると思いますし自負もあります。一方で組織となると……。きちんと人を育ててきたかというと、育ててこなかったんですね。でもそれは、IT企業としての戦略でした。つまり『技術に特化してほしい。』と。ところが、それは近視眼的な経営でしかなかった。5年後、10年後――、組織はどうあるべきかを考えてこなかったわけです。 トップダウン経営で走り続けた結果、僕の言うことしか聞かない組織になってしまった。右と言ったら右。『お伺いを立てる』みたいな風土が醸成され、依存体質の社員・組織になってしまっていた。」

1968年――、福島県喜多方市に生まれた宮城社長は、戦争で片親を亡くされ、4人の家族を養う使命を負った厳格なお父さまにより厳しく育てられたという。「仕事をするなら人の上に立て」というお父さまの教えが後押しとなり、20代で受託型のソフトウエア会社を興された。 しばらくは、経営の意思決定スピードを重視され【中央集権(一極)型】の、いわゆるトップダウン経営で仕事の規模も会社もどんどんと成長させてきた。それと同時に組織・社員は「右向け右」の状態に……。宮城社長は、自分の言うことだけしか聞かなくなった組織への危惧を抱いていた。

中央集権(一極)型の組織から
中央集権(分散)型組織への変革を試みるも……。

アイグローブ様における組織変革の流れ①

《宮城社長》「創業期からの【中央集権(一極)型】の頃は、社員が少ないのもありましたが、コミュニケーションも取りやすかった。退職者もほとんど出ませんでした。ところが、【中央集権(分散)型】としたことで、コミュニケーションの回数や密度が、それまでとは変わってしまいました。僕自身、疎かになっていったというか。結果、離職率が一気に上がりました。 『これはいかんな。これはいかん。』といろんなことにトライしましたけど、そういう環境だからなかなか根づいていかない……。『これは、もう大胆に変えるしかない!』と、【自立分散型(ティール型組織)】を目指すことにしました。」

宮城社長は、持ち前のスピード感を持って、中央集権(分散)型組織へと変革した。ところが、【中央集権(分散)型】への組織変革により離職率が急上したという。人が辞めてしまえば当然、それまでかけてきた採用コスト・育成コスト・時間……そのすべてが損失に変わってしまう。さらに「人が売上をつくる」すなわち労働集約型の当業界において、次から次へと退職者が出ることは最大の痛手だ。 そこで、宮城社長はティール型組織への変革を英断、実行に移された。

アイグローブ・スタイルの
ティール型組織がスタート!

《宮城社長》「一番実現したかったのは、依存型の組織から自立能動型の組織へ変えることでした。あのまま経営していたら、それ以上の成長も臨めなかったでしょうし、自立し能動的に動ける人間も限られていたと思います。 いかに〝人〟というリソースを最大限使い目標達成させるか。そこに尽きると考えています。そうした力を持たずして、これから5年先、10年先、生きていけるのか?僕は常々そうした点を社員にも伝えています。それぞれが『自分も何かやらなきゃいけない。』という意識を持ち、自分の部下も含めて、さらに予算も握って、戦略も考えて……あるいは『この部分は壊していくんだ。』などと立ち上がる。濃淡はありますが、そうした企業風土・文化が、ちょっとずつ、根づきつつあると感じます。」

全社員に宮城社長の課題感と「こういう会社にしていこう」を発表され、ティール型組織は2021年6月にキックオフ。組織改革を断行したことを宮城社長は「大正解」だったと振り返る。当社では10名弱程度で構成された各ユニットのユニット長に権限委譲し、自立(自律)・自走させている。

ティール型組織と人事評価制度の組み合わせで
改革スピードは加速

《宮城社長》「会社への貢献度によって適正な評価をしたいと考えていたので、人事評価制度を見える化したことは本当によかった。公開すると決めたら、その範囲を中途半端に定めるのではなくすべてオープンにしちゃおうと思いました。『もう全部、権限委譲するから、やってくれ。』というのがいいんじゃないのかと。まさに『給与は自分で決めなさい』という野呂さんの教えを実践しています。」

収益性や個人ごとの実績、また賞与の分配の仕方やルール、どのようにすれば評価が上がるのかに至るまで、すべてをオープンにすることはなかなかできるようでできない。 IT業界は人材が横に移ることが常。転職に際してもまったく異なる畑に移ることは少なく、IT業界内で動いていく。それだけに、給与も含めいい条件、そして成長できる会社であることが社員の定着につながり、当然採用力を高めることになる。まさに競争に勝つための要諦だ。 支給したい年収ベースにはまだ到達していないというが、利益率を上げながら、利益が出たら人件費で還元して1人当たりの年収を上げていこうと会社づくりを進めている当社。ティール型組織と人事評価制度の組み合わせが改善スピードを加速させ、採用・育成・定着のすべてにつながっている。

ユニットはひとつの会社、ユニット長は小さな社長。

宮城社長

《宮城社長》「われわれ独自の文化を持ったティール型組織へとさらに発展させていかなくてはなりません。そのためには本当の意味で自立能動的な組織になることが必要です。きちっとしたビジョンを持った組織体が本当の意味で生まれることを、やっぱり期待したいです。そして積極的に何か世の中に関心を持って“こういうこと取り組んでみよう”“こういうことをやってみよう”と、人を巻き込んでいく。そういうことがどんどん、わき起こってほしいなと思いますね。」

 

3年かけて変革することを社長は宣言されており、アイグローブ・スタイルのティール型組織は未だ進化の途中にある。それを体現するように〝経営の意思決定と実行のスピード〟は着実に根づき、進化を続けている。

詳しく知りたい方は

nbcplus106号

株式会社アイグローブ様の改善の軌跡・取り組みの全貌は

『NBCPlus』106号でもご紹介しています。ぜひご覧ください。